共同親権制度のフランス民法と刑法

共同親権の国フランスの、家族についての民法および刑法がどのようになっているかをご紹介したいと思います。大前提にあるのは、親と子の関係は人権だという考え。子の前では父も母も平等であり、離婚によってその関係には影響を及ぼさないという理念が強く感じられます。

フランス民法は2002年の法改正で共同親権が導入されています。フランスは1990年に子どもの権利条約を批准し、2002年に子どもの権利条約とも整合を図り共同親権の立法化をしたという事になります。日本は1994年に子どもの権利条約を批准しているのですが、対応が酷く遅れていますね。



[フランス民法]

第373-2条(離婚後での共同親権の行使)

1. 両親の離別は、親権行使の帰属に関するルールに影響を及ぼさない。

2. 父母はそれぞれ、子との身上の関係を維持し、他方の親と子との関係を尊重しなければならない。

3. 両親の一方の居所のあらゆる変更は、それが親権の行使の態様を変えるものである以上、事前にかつ適宜に、他方の親に知らされるべき情報の対象となる。意見の不一致の場合には、最も適切な親が、家事事件裁判官に申立てて、家事事件裁判官は、子の利益の要求するところに従って決定する。裁判官は、子の移動費用を配分し、それに応じて子の養育及び教育の分担金を調整する。


まず第373-2条の1項の所を見てもらえますと、これが一番、原則的な規定でして、「両親の離別は、親権行使の帰属に関するルールに影響を及ぼさない。」。離婚すれば夫婦間の関係については法律の扱いが変わりますけど、親子に関する法律には婚姻中でも離婚しても影響を及ぼさないっていうのが大原則になっている訳なんですね。

2項と3項に具体的に記したわけですけど、「父母はそれぞれ、子との身上の関係を維持し、他方の親と子との関係を尊重しなければならない」というふうに極極当たり前のことが書いてあるわけです。これがあくまで原則形態になるわけです。

これは日本の民法第819条の、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」というのともの凄く変わってくるわけです。


第373-2-9条(交代居所)

1. 子の居所は、・・・両親の各々の住所に交替で、あるいは両親の一方の住所に定めることができる。

2. 両親の一方の請求に基づき又は子の居所の様式について両親の間に意見の不一致がある場合には、裁判官は、暫定的に交代居所を命じることができる。裁判官は、その期間を決定する。この期間の終了時、裁判官は、子の居所について、両親の各々の住所での交替か、両親の一方の住所に定めるかを最終的に決定する。

3. 子の居所が両親の一方の住所に定められる場合には、家事事件裁判官は、他方の親の訪問権の態様について決定する。この訪問権は、子の利益がそれを命じる場合、裁判官が指定する面会場において行使されうる。


重要なポイントは第373-2-9条の所でして、これはいわゆる交代居所といわれるところです。日本の単独親権の元では別居親と会うときには非常に限られた日数に、しかも、面会交流権というように非常に個別的なものになるんですけど、フランスはそうじゃなくて、基本、子どもが両親と半々住むという、これが原則形態となります。

これが父母の平等という観点になるんですね。実際は学校や両親が離れて暮らすとなると、半々は難しいので、多少調整はします。それでも標準的な交代居所というのは2週間に1回の週末を別居親の所にいく。平日は同居親の所にいて、月2回の週末は別居親の所にいく。さらに夏休み、冬休みの長期休暇の時はほぼ半分にするといったものになります。

ですから、日本の面会交流権の判例での月1回何時間と、全然違う訳です、子どもはどっちの親とも平等に接するというのが原則。不都合の時に多少修正するという考え方になります。

2項の方を見てもらうと、「両親の一方の請求に基づき又は子の居所の様式について両親の間に意見の不一致がある場合には、裁判官は、暫定的に交代居所を命じることができる」。離婚している夫婦なので、調整が上手くいかない時もあるのですが、そうゆう場合は制度的な手当てをしなければならないので、そこで裁判官は調停をするわけですよね。

ですから、現在、共同親権の国でも父母の真摯な合意があればいいじゃないかというのではなく、問題はその合意がなかった時にどうするかを考えるのが法学者の役割だと思います。同意が無かったり、同意が崩れた時にどうすのかっていうのを考えるのが大事。

その辺、ちゃんとフランスはなっているのです、合意がない時は裁判官が動きます。これが原則的な形態。

また同居している親から別居している親に情報を提供する、別居親は請求できるというのが重要な点。これはフランスは第373-2条の3項にありますし、ドイツにもそうゆう規定があります。ですから同居親の所で子どもがなにをやっているかということが、別居親の正当な権利として知ることができるということがあるわけです。これが基本的な共同親権の考え方です。子どもに対し父母は平等なのです。


第373-2-1条(親権の単独行使)

1. 子の利益がそれを命じる場合、裁判官は、両親の一方に親権の行使を委ねることができる。(親権は共同だが、一方の親が単独で親権を行使する)

2. 訪問権及び宿泊させる権利の行使は、重大な事由によるのでなければ他方の親に拒否され得ない。

3. 子の利益に従って、子と親権の行使を有しない親との継続的かつ実質的な関係がそれを要求する場合には、家事事件裁判官は、そのために指定された面会場において訪問権を行使させることができる。


第373-2-1で親権の単独行使となっていますが、注意して頂きたいのは、共同親権というのが基本で、行使を分有するというのが基本的な考え方です。基本的には親権を単独行使させるだけで、別居親に親権自体は残る、これは共同親権制度を理解する上で重要なところです。


第371-4条(祖父母の訪問権)

1. 子は、その直系尊属(祖父母)と身上の関係を維持する権利を有する。子の利益のみが、この権利の行使を妨げることができる。

2. 子の利益がそれを求める場合には、家事事件裁判官は血族又は血族でない第三者の間の関係の態様を定める。とりわけ、第三者が、子と両親の一方とともに安定的に居住していた、子の教育又は住居を負担していた、子と恒久的な愛情関係で結ばれていたときはそうである。



第371-4を見てもらいますと、祖父母の訪問権となっていますが、これは日本でいう、例えば、おじいちゃん、おばあちゃんが孫に対して面会交流権を持つかってことです。日本では全く議論されていません。日本では権利かどうかもそもそも問われていない。しかしフランスの民法では、おじいちゃん、おばあちゃんが孫に会う権利が、法律でちゃんと認められている。日本はそうゆうのがない、結局離婚すると、おじいちゃん、おばあちゃんは孫にも会えない。実は、日本の単独親権制度の影響を受けている人っていうのは、別居親もそうですし、子どももそうなんですけども、おじいちゃん、おばあちゃん、従姉妹というところに広がっていて、被害者がかなりいるんですね。単独親権制度は如何に多くのものを奪ってしまうかがわかると思います。子どもからも奪っているし、まわりの人からも奪っているのがよくわかるかと思います。共同親権制度のフランスは祖父母までちゃんと対処されているということを、お伝えしたいと思います。

次にフランスの刑法についてお話しします。


[フランス刑法]

第227-7条(親による子の連れ去り罪)

1. 全ての尊属が、親権者又は子を預かった者、若しくは、子と同居する者から、未成年の子を奪取する行為は、1年の拘禁刑及び15000ユーロの罰金に処する。(親権行使に対する侵害)


第227-9条(国外への連れ去りなどの場合の加重刑)

 第227-7条に定める行為は、次に揚げる場合には、3年の拘禁刑及び45000ユーロの罰金に処する。

1. 未成年者の引渡しを主張できる者が所在を知らない状態で、5日を超えて未成年者の子を拘束するとき

2. 正当な理由がないのに、フランス領土外において未成年の子を拘束するとき


第227-5条(未成年者の不引き渡し罪)

 未成年者の子の引渡しを請求する権利を有する者に対し、正当な理由がないのに引き渡しを拒む行為は、1年の拘禁刑及び15000ユーロの罰金に処する。(訪問権・宿泊させる権利の保護であり、面会交流で子を引き渡さない行為を処罰)


刑法の所を見てもらいたいのですけれども、まずフランスは最初の連れ去り自体が犯罪となる。緊急避難的に虐待とかその限りでは許されるのですけれど、それはちゃんとその事情があったかどうかということを、緊急避難を、連れ去った方が立証しないといけないわけです。非常にルールとして透明性があって、日本のように本当にDVがあったのか、虐待があったのか分からないのに、完全に実力行使でそのまま別居状態が続いているとは全然違う。子を片親から引き離すことは親権行使に対する侵害になっている訳です。

また、未成年者の不引き渡し罪というのがありまして、これは面会交流の時に約束があったのに子どもを連れて行かなかったら、それは犯罪です。子どもは親から引き離してはいけないという考えが根底にあるのです。ここも犯罪化していって裁判で決着をつけるということで、法できっちり手当をしているわけなんですね。


今回、紹介した法令は一部です。ごく一部ですけども、日本の民法と比べてみて非常に詳しいと分かってもらえるかと思います。日本では離婚後の親子関係についての法は民法第766条があるだけで、それさえも裁判所が守っていないことが大変多い状態です。そして例え面会交流の取り決めがなされても、月に一回数時間が相場です。更に、その月に1回数時間の面会交流の取り決めでさえ、守らなくても許されてしまう状況があります。また民法第766条は父母のみの事にしか触れていなく、祖父母や従姉妹については何の規定もありません。


家族に関する法律に対し、子どもの権利条約にフランスは機敏に対応したのに対し、日本は議論を避けて来てしまったようです。親子関係と夫婦関係を分けて考え、親子関係は人権であるという認識が今、求められています。

子どもの権利条約9条を守る会

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